小児用抗生物質顆粒は服用時に使用する飲料のpHで味が変化する_1

以前,現役の薬剤教育に携わっていました.内容は,日々の業務で処理する処方せんの中から,くすりを物として考えた際に,疑問に感じたものを参加者全員で考えるという形でした.そのなかで以下のような疑問を提出した薬剤師がいました.

この内容をまとめると,

まず,小児が服用する薬剤の味を嫌がりトラブルが起きている状況を,この項でも紹介する株式会社龍角散の服薬補助ゼリー”らくらく服薬ゼリーシリーズ”を中心となって開発を主導した同社の福居篤子の論文から引用します.

このように,小児は口に含んだ薬剤の味が気に入らないとアドヒアランスが低下します.小児用だから顆粒剤が処方されている可能性が高く,顆粒剤服用時の味が気に入らないのであれば錠剤に変更すれば良いのではと思うが,実際に小児が服用した経験のある剤形をみてみましょう.

このように,小児が服用する剤形は,水剤,散剤が主で,特に3歳未満では錠剤の服用経験がほぼない点に注意してください.理由は,錠剤を飲み込む際の事故に対する懸念からだと思います.次に,OTCの状況も確認しましょう.

大正製薬株式会社のパブロンシリーズの添付文書から,各年代の服用量を引用します.

パブロンS錠

パブロンS微粒

パブロンkidsかぜ錠(小児用の錠剤)

パブロンkidsかぜ微粒

パブロンkidsかぜシロップ

このように,OTCでは,5歳未満の場合,それが小児用の錠剤であっても服用は行わないことになっています.5歳未満には微粒,シロップが推奨されています.

ここで,用語を少し整理しましょう.
これまでに,顆粒,散剤,微粒という単語が出てきました.これらは,”粉薬”を指す単語です.講義で話したように,医薬品の規格は日本薬局方で決められています.製剤の剤形については,製剤総則で規定さています.製剤総則には顆粒と散剤が載っています.詳細は省くとして,以下の様に覚えてください.
顆粒剤・・・・粒が散剤より大きい
散剤・・・・・粒が顆粒より小さい
怒られそうな内容ですが,薬剤師の国家試験を受験する訳ではないのでこれで大丈夫でしょう.なお,日本薬局方には”微粒”の項はありません.

次に,顆粒を服用すると”味がする”点を考えてみましょう.顆粒の模式図を下に示します.

顆粒の作成方法は様々なありますが,主成分が顆粒の内部にすべて収まる可能性はほぼないでしょう.一部分の主成分は顆粒から飛び出しています.主成分に特異な味があれば,その味を舌で感じますね.そこで,特異な味がしないように何らかの成分で顆粒を覆います.これを”コーティング”と呼んでいます.

コーティーングした顆粒は,口腔内に残存する程度の時間では,水に溶解せず主薬が水に溶け出し味を感じないようになります.
上の図に示していますが,コーティング剤を酸性条件下では溶解せず,つまり”胃内の条件”で溶解しない成分を選択すれば,腸溶性,腸で溶解する顆粒剤になります.これは,主成分が酸性条件下で分解してしまうような場合に汎用されています.次に項に続きます.