09.01 高血圧_1

くすりの知識

高血圧は,推定4,000万人とも言われる日本の主な疾患の一つ.

高血圧の基準は,収縮期血圧【140mmHg】以上または,拡張期血圧【90mmHg】以上.

”血圧の決定因子とそれに応じた降圧薬の主な作用点”をまとめると

※降圧薬の主な作用点をまとめたもので,これ以外にも作用メカニズムはある点に注意.

※利尿薬については,”余分な水分は腎臓から尿として排泄されるが,このときに必要になるのが心臓のポンプ機能.多くの尿を出すためには,より血流を増加させるために心拍出量が増え,その結果血圧は上昇する.利尿薬は,体内のナトリウムを水分と一緒に排出する作用により体内の水分量が減り,心拍出量が減って血圧は下がる.また,長期間の利尿薬の服用は末梢血管抵抗を下げ,それによっても血圧が下がる.”との考えもあります.

血圧(動脈圧)を決定する2つの因子は【心拍出量】【末梢血管抵抗

心拍出量を決定する3つの因子は【血液量】【心拍数】【心収縮力

末梢血管抵抗を決定する因子は【血管平滑筋緊張度

レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系をまとめると

たんぱく分解酵素である【レニン,renin】,肝臓などから分泌されるペプチドの【アンジオテンシノーゲン,angiotensinogen】を一部分解して【アンジオテンシンⅠ,angiotensin】に変換する.

アンジオテンシンIは、肺毛細血管に存在する【アンジオテンシン変換酵素,ACE,angiotensin converting enzyme】によってアンジオテンシンIIに変換される.

アンジオテンシンIIは,血管の緊張を上げ,交感神経系を刺激して心拍出量を増加させることにより血圧を維持する.

アンジオテンシンIIは,副腎皮質に作用して、ナトリウムの再吸収を促進する【アルドステロン,aldosterone】の分泌を促進する.アルドステロンは尿細管に作用してナトリウムおよび水を再吸収すると共にカリウムの再吸収を抑制する.

※レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系 → RAA系と略記される場合もあります.

ここで,ちょっと思い出して欲しいのですが,生体の恒常性を維持するシステムをなんと言いましたか【ホメオスタシス

RAA系は,血圧が下がったときに,血圧を上げる役割を持ちます.これもホメオスタシスの一部です.

降圧薬で,血圧が下がった際にも働き,降圧薬の作用を減弱させ,この反応を【代償反応