07.01 神経伝達物質とその働き

くすりの知識

体性神経系と自律神経系の神経伝達物質と受容体を表にまとめました.

注意して欲しい点は,

交感神経系の節後線維での神経伝達物質は【ノルアドレナリン】で受容体は【アドレナリン受容体

副交感神経系の節後線維において神経伝達物質の【アセチルコリン】で受容体は【ムスカリン受容体

これは,丸暗記してください.

神経伝達物質の働きをモデルにして,神経伝達物質の反応の仕組みを考えます.

※この内容も苦手な方が多いように思います.

図を参照しながら読んでください.

まず,前提があります.

・神経伝達物質が受容体に結合して反応が起こる.

・神経伝達物質は,受容体と結合したり離れたりする(何らかの平衡状態にある).

・普通の状態は,隙間(?)に神経伝達物質は200個

・受容体の数は,神経伝達物質の数よりはるかに多い.

・結合している神経伝達物質は100個,結合していないもの100個.

・いつまでも神経伝達物質があったら反応は持続するので,分解酵素で受容体に結合できない形に変換される.仮に10分後には,未変化体は0個(変換された物質は200個)とする.

・神経伝達物質は,再取り込みされて再利用される.

これらの状態が維持されていると普通というか,バランスが取れている状態とします.

1.受容体刺激薬(作動薬)

反応が弱い場合は,前提から”受容体は100個余っている”.そこに結合する刺激薬を投与すれば,反応は強くなる.もう一つ,神経伝達物質が80個しかないなど普通の状態より少ない場合も同様.

2.受容体遮断薬(拮抗薬)

反応が強い場合は,受容体に神経伝達物質が結合できないように,受容体遮断薬で受容体にふたをする.そうすると神経伝達物質は受容体に結合できないから反応は起こらなくなる.つまり,反応は弱くなる.

3.分解酵素阻害薬

反応が弱い場合,分解酵素を阻害すれば神経伝達物質が存在している時間が長くなる.従って,反応は強くなる.

4.再取り込み阻害薬

反応が弱い場合,再取り込みを防止すると,神経伝達物質の数の減少は抑えることができる.そうすると,トータルでの神経伝達物質の数は増えるから,反応は強くなる.

5.放出薬

反応が弱い場合,神経伝達物質の放出を促進すれば,隙間に存在する神経伝達物質の数が200個から300個に増えて,作用は強くなる.

図は省略している部分もあり,前提も不正確ですが,薬物の動きと働きで確認した内容をふまえて,隙間の神経伝達物質の数に注目してください.理解しやすいと思います.

”数が多い → 反応は強い” ”数が少ない → 反応は弱い” です.もう一度リンク先を確認してください.

神経伝達物質を”薬物”と置き換えて考えることも可能なので,様々な薬物の薬理効果を理解する上で役立ちます.なお,”分解酵素”は”代謝酵素”と置き換え可能です.

必ず絶対になにがなんでも覚えてください.