徐放性製剤を粉砕し粉末状にして投与する際の注意点を確認します.

まず”徐放性製剤”の代表的な仕組みを見てみましょう.

これは基本的な徐放性製剤の例です.
一つの製剤の中に,早く溶解する部分と遅く溶解する部分を混ぜ合わせたものです.
では,徐放性製剤を服用した際の血中濃度はどのようになるでしょうか?

上の血中濃度のグラフは,あくまでも想定で実際はこのようにはなりませんが,ある程度の時間,薬物の血中濃度維持できます.
次に,実際の薬剤の例を見てみましょう.これは内核を含んだ多層錠である”アダラートCR錠(ニフェジピン)”の例です.

このグラフは添付文書にも記載されており,外層と内核の2つの部分が存在していることがわかりやすい例です(専門的になりますが,血中濃度は複数例の”平均値”なので一人一人のデータを見ると若干異なるイメージになります).
アダラートには,カプセル(普通),L錠(徐放),CR錠(徐放)の3種類の剤形がありました(現在は,カプセルは販売中止,L錠は後発医薬品のみ存在).各々の血中濃度グラフを見てみましょう.

グラフをよく見てください(いつものことですが,縦軸は対数表示に注意してください).残念ながらアダラートカプセルの投与量が10mgのデータです.ニフェジピンの血中濃度の動態は異なりますが,アダラートカプセルは立ち上がりが早いですね.ここで,仮定として,
”アダラートCR錠20mgを粉砕して投与したらどのような血中濃度の動態を示すでしょうか?”
もちろん粉砕したからといって完全に徐放性が失われるとは考えられませんが,粉砕により普通錠に近い特性,つまりアダラートカプセルの特性に近くなると考えられます.そうすると,アダラートカプセルのグラフが2倍弱高くなったグラフを描くと想定できますね.そうなると,想定以上の血圧低下を起こすでしょう.このように,
徐放性製剤を粉砕し投与する際は注意が必要
忘れないようにしましょう.以降,公益社団法人日本医療機能評価機構が公開している“再発・類似事例の分析”の第76回報告書より引用して,事例を確認しながら補足説明を加えます.


徐放性製剤の商品名(販売名)に付いている”記号”をまとめます.

添付文書をよく見ると,”徐放性”の単語があります.添付文書は重要ですね.

他の例も見てみましょう.





次はアダラートCR錠に関する例です.






ここで注意したいのは,”システム対策”です.
少しでもトラブルに発生を防ぐため医療関係のソフトウェア(システム)も様々な対策を行っています.しかし,システムの対策から漏れる例もあり,また,システムが注意喚起しても気付かない場合もあります.
薬剤に関する様々なトラブルを防ぐ根本的な対策は,
・常に添付文書を確認する.
・基本事項の再確認.
につきると思います.

