脂肪の吸収を抑制して内臓脂肪を減少させるOTC”アライ”

国内では初めての”内臓脂肪を減少”の効能を持つ一般用医薬品(OTC)”アライ”が発売されました.製品の添付文書を見ましょう.

引用元:アライ,添付文書より,大正製薬

主成分は,オルリスタットで,国内では医療用医薬品として販売されていません.これまで一般用医薬品は,医療用医薬品として長期間使用されて安全性が担保された成分がスイッチOTCとして販売されてきました.

アライはそれとはことなる状況で販売されました.ただし,オルリスタットは海外での使用経験は豊富あり,安全性に関しては問題ないと判断されたのでしょう.使用に関しての薬剤師の関与が大きいのは,安全に配慮した結果でしょう.

ここで,アライを服用すると内臓脂肪が減少する理由を考えたいと思います.

このオルリスタットは,脂肪を分解するリパーゼの活性を阻害し,脂肪の吸収が阻害されるため内臓脂肪を減少させます.この文書に覚えはないですか?薬理学Ⅰで掲載した”脂肪と脂肪酸,リン脂質”で記載した内容です.もう一度確認してみてください.

オルリスタットを服用することで,食事由来の脂肪が消化管内に多く存在することになりますね.するとどのような現象が考えられますか?

上の添付文書中の”その他の注意”にあるように,便が軟らかくなる傾向,つまり下痢気味になる可能性が高いですね.これは,オルリスタットの薬理作用から仕方がないことです.

”新しい便秘治療薬の特徴”で述べたように,通常行われている生理現象を調整することで様々な効果を発現させる薬剤があります.ゆっくり考えれば,どのような副作用があるかが理解できます.