外用剤の混合により,主成分の含量が低下する現象が起こる例があります.
マキサカルシトール含有の外用剤を例に考えます.
”外用剤を混合する際の注意(基剤の変質)”と同様に,マキサカルシトール外用剤の先発医薬品であるオキサロール軟膏のインタビューフォームを引用します.
オキサロール軟膏では,モイゼルト軟膏のとは異なり,”他剤との配合変化(物理化学的変化)”には”該当資料なし”となっています.
しかし,公益財団法人 日本医療機能評価機構が公開している”薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の相互作用”には次のような例があります.
引用元:薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 共有すべき事例 配合変化,公益財団法人 日本医療機能評価機構,2021年No.4
この含量低下の原因は,マキサカルシトールが酸性領域側で不安定であることが関連しています.混合により全体が酸性側に移動し,結果,マキサカルシトールが分解され含量が低下したと考えられます.繰り返しになりますが製剤単独で使用,および保管は,メーカー側で十分な試験を行っており製品の質は担保されてますし,オキサロール軟膏はたいへん有用な薬剤です.
予めテストすれば良いのでしょうが,”外用剤を混合する際の注意(基剤の変質)”で述べたように,外用剤を混合する場合,その組み合わせは無数にありすべての試験を行うことはたいへん困難です.
マキサカルシトールは酸性側で不安定になると書きましたが,そうであれば,混合しても酸性側にズレなければ不安定にならないのかですが,そのような場合もあるようです.つまりある特定の外用剤との組み合わせで含量低下がおこります.
不明瞭な書き方になっていますが,是非,覚えておいて欲しいのは”マキサカルシトールは酸性領域では不安定”ということです.ですから,マキサカルシトール含有の外用剤の混合は,マキサカルシトールが分解して含量が低下する場合があります.忘れないでね.
*追記:今回引用したヒヤリ・ハット事例は,先発医薬品と後発医薬品の課題が隠れています.この点は別のタイトルで書きます.