”10_1 喘息”関連 看護師国家試験問題

喘息のため吸入用ステロイド薬を使用する患者への説明で適切なのはどれか.

1. 吸入前に最後まで息を吐き出してから吸い込む.
2. 吸入した実感があるまで数回噴霧する.
3. 吸入後はうがいをする.
4. 発作が起こりそうな時に使用する.

第097回_午前114問

この問題は,みなさん全員が正解して欲しいです.薬理学Ⅰ,Ⅱの講義で何度も話しました.

吸収ステロイドの使用後は,【口腔内カンジダ症】の発症を予防するために”うがい”は必須でしたね.では,他の特徴的な有害反応を覚えていますか?

嗄声】でした.

2.は,吸入量が増えれば薬物量も増えますから反応が過剰になる可能性があります.ですから必ず”指示通り”に実行する必要があります.4.にも関連しますが,喘息の発作時に使用する薬剤はなんと呼ばれていますか?

そう【リリーバー】でした.リリーバーとして使用される薬剤に【β2刺激薬】があり,特にその過剰摂取が問題になります.理由は?β刺激薬の作用は,交感神経か副交感神経,どちらでしたか?

特発性間質性肺炎の患者.毎日プレドニゾロンを30mg内服している.外来受診時に「この数日,目が少し痛いような気がして軽い頭痛もする.薬の副作用なのだろうか」と話した.視力の変化や眼瞼および眼球結膜に充血を認めない.

対応で適切なのはどれか.

1. プレドニゾロンの内服を中止して,2、3日様子をみる.
2. 外出時には必ずサングラスをかけ強い光線を避ける.
3. 鎮痛薬を内服する.
4. 眼圧を測定する.

第098回_午後049問

プレドニゾロンは代表的な内服用副腎皮質ホルモン(ステロイド)です.副腎皮質ホルモンの作用は,免疫を【抑制】する方向でした.また,様々な疾患で汎用されている薬剤であり,主な副作用は以下です.

緑内障,ムーンフェイスなどで,免疫を抑制する作用があるので感染症に注意が必要です.

疾患関連の症状に関しては他の諸先生方にお伺いして欲しいのですが,緑内障は自覚症状として”目の痛み”があり,眼圧が上昇します.

薬剤の代表的,特徴的な副作用は覚えておくと良いでしょう.

気管支喘息に対する副腎皮質ステロイドの吸入療法について正しいのはどれか.

1. 副作用は内服より少ない.
2. 吸入後に含嗽はしない.
3. 食後の吸入が食前より効果的である.
4. 吸い込むタイミングで効果に差はない.

第102回_午前048問

2.は間違いですね.4.は講義で説明したように”吸入薬は使い方が重要”でした.ですから,”吸い込むタイミング”は重要で間違い.3.は吸入ですから経口投与ではありません.とすると,摂食は効果(薬物の吸収量)に影響は非常に少ないでしょう.

となると,1.が正解ですが,少々設問に疑問があります.経口投与と比較すると吸入の場合,1回の薬物量は少ないですから,当然,副作用(有害反応)は少なくなりますね.ですから,”同量を投与した際”との前提が必要だと思います.

この設問の意図は,副腎皮質ホルモンの吸入の場合,循環血に移行する量が少ないので効果は局所に留まり,かつ有害反応も局所で発現するものが多い,従って,”副作用は内服より少ない”になったのでしょう.

一般的に,投与経路が吸入の場合,循環血に移行する量は少ないと考えられますが,喘息治療に使用する吸入剤の中でも,過剰使用により心機能に影響を与える可能性がある【β2刺激薬】もあるので注意が必要です.

成人患者の気管支喘息の治療で正しいのはどれか.

1. テオフィリンの投与中は血中濃度の測定が必要である.
2. 副腎皮質ステロイド薬吸入後の含嗽は必要ない.
3. インフルエンザワクチン接種は禁忌である.
4. 発作時にはβ遮断薬を内服する.

第108回_午後043問

投与した薬物の血中濃度を測定し,最適な血中濃度になるように薬物の投与量を調整するシステムを【TDM】と呼んでいます.テオフィリンの主な作用は【気管支拡張作用】であり,TDMが適用される代表的な薬物です.他には,炭酸リチウム,【MRSA】に効果があるバンコマイシンなどの【アミノグリコシド】系抗生物質,フェニトインやバルプロ酸Naなどの抗てんかん剤などがあります.

2.は間違い.3.は添付文書を確認していれば迷いませんが,設問からだけの判断は難しいですね.一般的に,ワクチンは”発熱時は避ける”や講義で述べたように”構成成分に対してアレルギー示した経験がある場合は避ける”,他にもあるでしょうが.となると,ここではいったん判断は保留.

4.ですが,ぜんそくの治療は,気管支(細気管支)の太さをを広げる方向に作用する薬物を使用します.この場合,交感神経系で考えると,”刺激”でしょうか”抑制”でしょうか?

3.は保留しましたが,1.は確実に◯.2.4.は確実に×で正解が得られます.

諸先生方に怒られそうですが,設問のすべてを正確に判断できなくても,正解を導くことはできます.