”02.06 薬物の副作用”関連 看護師国家試験問題

以下の国家試験の問題を考える前に,”薬物の副作用-1”,”薬物の副作用-2”,”薬物(薬剤)のアレルギー反応”に再度目を通してください.

必修問題

薬物の有害な作用を予測するために収集する情報はどれか.

1. 身長
2. 過敏症の有無
3. 1日水分摂取量
4. 運動障害の有無

第103回_午前019問

1.の身長ですが,薬物の血中濃度は投与量に比例しました(吸収と分布-3).では,同じ薬物の投与量した際に,一方の分布容積(Vd)が他方の半分になれば血中濃度どうなるでしょうか?

薬理学Ⅰのテキストp.45の”小児への薬物投与量の設定”を参照してください.小児への薬物投与量の設定は,いくつかの換算式が提案されています.代表的な”アウグスベルガーの式”をみてみましょう(薬効の個人差に影響する因子).小児の年齢に比例して投与量も増えます.これは,年齢が増えれば体も大きくなる前提での式です.体の大きさを表す指標として何があるでしょうか?

体重とか身長ですね.ですから,身長は薬物投与量を設定する際には一つの指標になる可能性はあります.

2.の”過敏症の有無”が正解ですが,ここで具体的な例を見てみましょう.牛乳アレルギーの方に注意すべき薬剤があります.

引用元:エンシュア・H,添付文書より,アボットジャパン合同会社,2023年1月改訂(第2版)

過敏症(アレルギー)の確認はたいへん重要です.忘れないようにしてください.

必修問題

手術予定の患者が服用している場合,安全のために術前の休薬を検討するのはどれか.

1. 鉄剤
2. 抗血小板薬
3. 冠血管拡張薬
4. プロトンポンプ阻害薬

第113回_午後016問

必修問題

出血傾向を考慮し手術前に投与の中止を検討するのはどれか.

1. アドレナリン
2. テオフィリン
3. ワルファリン
4. バンコマイシン

第107回_午後015問

必修問題

出血傾向のある患者に禁忌なのはどれか.

1. ペニシリン
2. インスリン
3. ワルファリン
4. プレドニゾロン

第097回_午前022問

問題の趣旨は,薬剤の服用で出血傾向が継続すると困るので,それを防ぐためにはどうすかですね.ところで,問題の選択肢に示されている薬剤や薬物が使われる疾患はわかりますか?

私が看護師国家試験の薬理関連の問題を解いてみた印象ですが,薬剤(薬物)の種類はある程度限られた範囲から出題されています.ですから,出題された薬剤(薬物)をテキストで再確認しながら”薬物の一般名と作用,及び使用される疾患”を確認しながらそれらに慣れると良いと思います.

血液凝固系に作用する代表的な薬物は(薬理学Ⅰp.224),
抗血液凝固薬・・・ヘパリン,ワルファリン
抗血小板薬・・・・アスピリン
なお,これらは,手術だけではなく”抜糸”にも注意が必要でしたね.

ワルファリンに関しては”02.04 薬物相互作用”関連 看護師国家試験問題も参照してください.ワルファリンの添付文書をもう一度確認しまてみましょう.

引用元:ワルファリン錠,添付文書より,エーザイ株式会社,2023年11月改訂(第2版)

必修問題

副作用(有害事象)として低血糖症状を起こす可能性があるのはどれか.

1. ジゴキシン
2. インスリン
3. フェニトイン
4. ワルファリン

第104回_午前016問

必修問題

骨髄抑制が出現するのはどれか.

1. 麻薬
2. 利尿薬
3. 抗癌薬(注,通常は”抗がん薬”)
4. インスリン製剤

第096回_午前021問

必修問題

骨髄抑制が出現するのはどれか.

1. 麻薬
2. 利尿薬
3. 抗癌薬(注意,一般的には”抗がん薬”)
4. 強心薬

第108回_午前016問

上の3問は,薬物が本来持っている作用が,ヒトにとって不都合が出た例でしょう.講義で説明したように,薬物の副作用にはこのような例もあることに注意しましょう.

薬物の作用が強くで過ぎたという観点から考えると簡単な問題ですね.

上のセクションで書いたように,出題される薬物(薬剤)は同じ場合が多いですし,共通の問題も出題されるようです.

必修問題

緑内障患者への投与が禁忌なのはどれか.

1. コデイン
2. アスピリン
3. アトロピン
4. フェニトイン

第108回_午後016問

必修問題

緑内障患者への投与が禁忌なのはどれか.

1. コデイン
2. アスピリン
3. アトロピン
4. ジゴキシン
5. フェニトイン

第113回_午後025問

必修問題

緑内障で禁忌なのはどれか.

1. アトロピン
2. インスリン
3. フロセミド
4. ジゴキシン

第098回_午前011問

緑内障(薬理学Ⅰのテキストp.283を参照)は,眼球内の房水の排泄経路がふさがって房水の排泄が抑制され,結果,眼圧が上昇し視神経が圧迫される疾患です.”排泄経路がふさがって”がポイントです.

講義で繰り返し触れましたが,抗コリン薬の使用に際して注意すべき二つの疾患を覚えていますか?
そうです,緑内障前立腺肥大(薬理学Ⅰのテキストp.255を参照)でした.前立腺肥大は,前立腺が肥大し尿道が圧迫され(ふさがった)て尿閉する疾患(おしっこがでにくくなる)です.緑内障と良く似ていますね.

では,抗コリン薬とはなんでしたか?神経伝達物質とその働きをもう一度確認してください.

代表的な抗コリン薬は,”アトロピン”と”スコポラミン”です.

抗コリン薬の代表的な副作用は,口渇,目のかすみ,頻脈,尿閉,緑内障などで,特に高齢者への投与は注意が必要です.”末梢神経に作用するくすり”のまとめを参照してください.

ですから,問題文だけを”緑内障に禁忌”を”前立腺肥大に禁忌”を変えても答えは同じになります.

なお,抗コリン作用を示すベラドンナ総アルカロイド類は市販の一般用医薬品にも配合されています.注意してください.繰り返しになりますが,重要なので,薬物の副作用-1薬物の副作用-2を参照してOTCにも注意を払う必要性を確認してください.特に,緑内障と前立腺肥大の患者さんは,ベラドンナ総アルカロイド含有のOTCは注意が必要です.

必修問題

長期間の使用によって満月様顔貌(ムーンフェイス)をきたすのはどれか.

1. ヘパリン
2. インスリン
3. テオフィリン
4. プレドニゾロン
5. インドメタシン

第102回_午後024問

これが,薬物の典型的な有害作用を設問でしょう.副腎皮質ステロイドの代表的な副作用(有害作用)です.覚えていますか?

選択肢の薬物の作用と使用される疾患,有害作用を確認しておいてください.

副腎皮質ステロイドの作用や有害反応に関しては”免疫”も参照してください.