02.06-2 薬物の副作用-2

抗コリン作用を持つ薬物は,口渇を引き起こす可能性があるとわかりました.

ベラドンナ総アルカロイドと良く似た効果を示す成分に,”ロートエキス”があります.ロートエキスは,ベラドンナ総アルカロイドと同じナス科植物のハシリドコロの根茎や根を乾燥したものから作られます.

ロートエキスも抗コリン作用を示します.ロートエキスが配合された一般用医薬品の添付文書を見てみましょう.

注意すべき症状に”口のかわき”があります.原理は,ベラドンナ総アルカロイドと同様です.

ここで口渇について考えてみます.

ご高齢の方で,口渇を自覚している方はいらっしゃいます.唾液を分泌する機能が生理的に低下した場合もあるでしょうが,意図せずに抗コリン作用を示す薬物を服用した結果の口渇も考えられます.

たとえば,一般用医薬品の胃腸薬(以前は,ロートエキス配合の製品が多くありました)は,日常的に服用する可能性が高いですね.日常的に服用してれば,ロートエキスにより誘発された口渇が発現する可能性はあります.

一般的に使用されている多くの薬物は,抗コリン作用を持っています(たとえば三環系抗うつ薬).このような薬物は,ほぼ、こうした望ましくない作用を引き起こすことを意図して作られたわけではありません.

ですから,受診する際には,現在服用中の薬剤,一般用医薬品,サプリメントを含めて医師に伝える事はだいへん重要になります.

なお,” 以前は,ロートエキス配合の製品が多くありました”と書きました.最近の一般用試薬品の胃腸薬には,ロートエキスが含まれていない製品が多くなりました.この変更理由は私にはわかりませんが,高齢者が胃腸薬を服用する可能性は高いですから,上に書いた現象を避けるためだと思います.

ロートエキスが含まれていない胃腸薬の例

抗コリン作用と口渇,これは覚えておくと役立ちます.