これまで薬物の血中濃度のグラフを見てきました.示されている濃度の対象は,一般的には,薬理効果を示す未変化体の薬物(代謝されていない)です.そこに代謝された薬物の濃度変化を加えてみましょう. あくまでもシミュレーションです.
服用後,代謝物はほぼ存在せず,その後,徐々に増えていきます.注意したいのは,もし全く代謝されない薬物があれば,その薬物の血中濃度が下がるのは,つまり,効果が減少するのは,排泄される場合だけです.
しかし,代謝を受ける薬物の濃度が減少する過程には,排泄とともに”代謝”も関与します.
※少し複雑ですが,代謝されていない薬物の数を数える(測定)方法では,代謝物の数を数えることは困難です.従って,未変化体の濃度には,代謝物の存在は関与しません(例外はあるとは思いますが)
今まで学んできた,薬力学と薬物動態学をまとめると以下になります.
投与量と血中濃度には相関関係があり,血中濃度と生体反応(効果)のも相関関係があります.
薬物の血中濃度と薬効の強さとは高い相関関係を示すことが多いことを,”pk/pd relationship”と言います.
誤解を恐れずに極論すると,
バファリンを,1錠飲んだときと2錠飲んだとき,アセチルサリチル酸の血中濃度は,2錠飲んだときの方が高い!(薬物動態学)
”頭が痛い”を改善するには,アセチルサリチル酸の血中濃度が高いほどよく効く!(薬力学)
この2つ合わせると,
1錠より2錠飲んだ方がよく効く!
※一般的に使われている”副作用”も薬物の効果である点に注意が必要.
pk/pd relationshipの意味する内容と,なぜそうなるかを十分理解してください.