バファリンの血中濃度グラフは,服用後一時間後に血液を採取し,含まれる薬物濃度を定量したものです.血液の採取時間の間隔を小さくすれば,より正確なグラフを描くことができますが,たとえば1分間隔で血液採取するとなったら,採取されるヒトはイヤですよね.それで,採取間隔は,服用直後は,短い間隔,その後1時間毎とかになります.そうすると,間隔が1時間の場合,その間の血中濃度の変化は予想するしかありません.
そこで,なんとか薬物量変化を示す式を作成したら便利じゃないのか,と考えたかどうかはわかりませんが,次に示す考え方で式ができました.
この式は,体を一つの区画(コンパートメント)と考えて,薬物の時間毎に吸収される量と排泄される量から構築されています.ですから,1-コンパートメント・モデルと呼ばれます.
実際には,ヒトの体は複雑なので,1-コンパートメントモデルの式では,正確性は欠きますが,薬物の体内動態を考える場合は十分役立ちます.
※血中薬物濃度が薬理効果に対してシビアに影響する薬物の場合,その薬物専用の特別な式があります.
これをもう少しわかりやすくモデル化すると以下になります.
水の注入量(吸収量になります)は,排泄量より大きいとします.
最初は,容器のなかに何もありません(0)から,水位は上昇します.しかし,服用する薬剤は無限ではありませんから,いずれ水の注入量は減少し,いずれ”0”になります.この過程でも排泄はされますから,いずれ水位は低下します.
つまり,血中濃度のグラフのように,最初は血中濃度の値は小さく,徐々に大きくなり,最高血中濃度【Cmax】へて血中濃度の値は徐々に小さくなります.
ここで,問題です.
蛇口からの注入量と排泄孔からの排泄量を同じにすれば,水位はどうなると思いますか?
医療の場で,汎用されている手技の一つです.