02.01 薬の量と生体の反応

この章では,薬物の体内での”動きと働き”に関する内容が中心になります.薬物の体内での”動きと働き”は,薬剤を扱う上で,たいへん重要な内容ですが,学生さんに伺うとどうも苦手な方が多いようです.

そこで,内容をごく単純化して話していますが,この章で再確認して,必ず理解してください.

たとえば,コーヒーに,砂糖1g入れた場合と砂糖10g入れた場合,どちらが甘いですか?

もちろん砂糖10g入れた方が甘く感じますね.

この”甘く感じる”という反応は,砂糖の分子が生体内で何らかの化学反応を引き起こした結果おこった訳ですね.その際に,砂糖の分子が多いほど反応も強くなり,甘く感じると.

薬物の効果も同様に考えることができます.つまり,体内に存在する薬物が何らかの化学反応を引き起こし,薬物に期待する効果が発現する.その際には薬物の量が多いほど作用も強くなり,薬物の量が減少すれば作用は弱くなると考えられます.

この薬物の量の変化と反応の関係を調べるのが,薬理学だとも言えます.

また”頭が痛い”を例に考えましょう.

薬物の量が多いほど,効果も期待できるわけですから,頭痛に対する効果を調べるには,頭の痛い部分の薬物量を調べれば確実ですね.しかし,特定の部分の薬物量を調べるのはなかなか困難です.頭の中から一部を取り出して薬物量を測定するのは現実的ではありません.

そこで,通常は,血液中の薬物量で代用します.血液中の薬物量が多ければ,ほぼ頭の中の薬物量も多いだろうという考えです.一般的には,薬物量は濃度で表します.”血中濃度”ですね.

今後,看護師が薬剤を扱う機会が増加すると予想されます.あまりなじみがないと思いますが,”処方せん”に関してはテキストでも触れているので,是非覚えておいて欲しい内容を最後に記述します.