ところで,アムロジピンベシル酸塩では,どこまでが有効成分の名前かわかりますか?
アムロジ・ピンベシル酸塩でしょうか?
アムロジピンベ・シル酸塩でしょうか?
正解は,アムロジピン・ベシル酸塩です.これを理解するのは,慣れていただくしかないような気もします.塩になる物質はそんなに多くないので時間を見つけて”一般名”に触れて見てください.
確実に理解する方法はあります.例としてノルバスクの添付文書から引用すると,すべての医薬品の添付文書の最後の方に, ”有効成分に関する理化学的知見”というセクションがあります.
引用元:ノルバスク錠,添付文書より,ヴィアトリス製薬株式会社,2022年12月改訂 ( 第3版 )
一般名の英語表記の”Amlodipine Besilate”をみればわかりやすいですが,Amlodipine(アムロジピン,有効成分)と塩であるBesilate(ベシル酸塩)と理解できます.
※構造式からもわかりますが,これは薬剤師さんの分野でしょうか.
以前は,アムロジピンベシル酸塩と表記せずに,ベシル酸アムロジピンでした.しかし,英語表記に準ずるとして,表記方法が変更されました.以前の表記法の方が私たちにはわかりやすいですね.
いままで述べてきたように,今後は臨床の場で薬物の一般名を目にすることが多くなります.
別の側面から,販売名と一般名,両方を覚えておいた方が良い例を示します.
販売名が乳がんの治療薬で販売名”ノルバデックス(一般名タモキシフェンクエン酸塩)という薬剤があります.
整理すると,
販売名 | 一般名 | 適応症 |
ノルバスク | アムロジピンベシル酸塩 | 高血圧など |
ノルバデックス | タモキシフェンクエン酸塩 | 乳がん |
となります.
ノルバデックスは乳がんの治療薬ですから,ノルバスクの期待する効果とは全く違いますね.
現在は,院内システムの多くが電子化されており,医薬品名の入力を補助する目的でスマートフォンの先読み変換と同様の機能が搭載されています.この両方の薬剤は,頭から3文字は”ノルバ”で同じです.そのため選択ミスが起きる可能性があります.
販売名 → 一般名 → 薬理作用と連想するとミスを防ぐ可能性が高まると思います.
看護師さんになったら,販売名とともに一般名も意識すると良いことがあると思います.