テキストとして使用している医学書院刊【系統看護学講座”薬理学”(第15版)】の”はしがき”に,感銘を受けた文章があるので以下一部を引用します.
患者に接する時間・機会が最も多い看護師には,薬物の特徴を十分に理解し,薬物療法の効果を十分に引き出すとともに,おこりうる副作用への対応や,事故防止に寄与することが求められている.
このことは,2020年の「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」の改正にもあらわれており,専門分野において,薬理学を含む「疾病の成り立ちと回復の促進」と「人体の構造と機能」とを合わせて単位数の増加がなされた.
薬理学は薬物治療の基礎となる重要な学問分野である.しかし,看護師になるために必要な薬理学の知識は膨大であり,カタカナ用語が多いという特徴もある.そのため,限られた講義時間では必要な知識を完全に理解することはむずかしく,苦手に感じる学生も多い.
薬物に関する知識は,基礎教育の間だけではなく,臨床に出たあとも医療従事者である限り学びつづける必要がある.
引用元:系統看護学講座”薬理学”,医学書院,第15版,はしがき
現代の医療では,薬物療法は必須であり,看護師である限り常に薬物を扱うことになります.また,今後増加すると予想される在宅での治療では,看護師が薬物に触れる状況は今よりも確実に増えるでしょう.さらに,新規の効果を持った薬剤の上梓,既存の薬剤の新しい使用方法の開発など,新たな知識を習得する必要もでてきます.
新たな知識を学ぶ際には,基礎的な知識が最も重要だと考えます.基礎的知識を身につけておけば,看護師である間に出会う新しい情報に触れても習得が容易になるでしょう.
学生さんには,毎年お話していることですが,看護師の資格を取られて他の職業に就いたとしても,”くすり”に対する科学的な考え方を持つことは,ご自身やご家族のためにも有益だと思います.
薬理学や薬剤に関する基礎的な知識をわかりやすくと心がけ,力不足ながらコンテンツを作成しました.本サイトが,みなさんの学習に少しでも役立つことを祈念しています.