00.04    温度の変化による液体の体積変化

水は,温度が変化すると体積が変化します.

このセクションの内容は,少々ややこしいですが,看護師になった将来必ず役立つと思います.

下のグラフを見てください.

引用元:水の密度の温度変化

グラフにあるように,水は0℃で氷になると密度が大きく変化します.

氷の密度は,グラフから読み取ると0℃で約0.916(正確には0.9168)ぐらいでしょうか?

前回のセクションで見たように,水の密度が1.0g/cm3から0.91g/cm3(0.91として考えます)と小さくなるのはなぜでしょうか?

おかしな表現ですが,水1gと氷1gは同じ重さですから,変わったのは体積なります.

体積がどれだけ変化したかを計算してみると,

1.0 ÷ 0.91 = 1.098

水から氷に変化すると,体積は約1.1倍になります.

冬の寒い時期に,水道管が破裂したニュースを見たり聞いたりしますね.これは,水から氷に変化したことで体積が増え,それが原因で水道管が破裂します.

なお,水の密度1g/cm3の基準となる温度は,標準気圧で温度4℃(正確には3.984℃)での値です.( 1mLを秤取する際に,温度変化で体積も変化すれば秤取した量が異なり,結果,質量も異なる)

牛乳やジュースの量(体積)は,mLで表しますね.では,食用油をみてみましょう.

引用元:日清サラダ油1000Gポリ

食用油の容量表示は”g(重さ)”です.

植物油の容量は,水に比べると温度変化に伴い増減しやすい性質があります.

そのため日本では,植物油の内容量を表示する際は,グラムまたは,キログラムといった重さの単位で表示するよう定められています.

植物油の比重は,約0.91~0.92です.1000gの油は約1,100mLです.

油は,水よりも軽いので,分離タイプのドレッシングをみると油の層が上になっているのがわかります.

比重

基準となる標準物質の密度との比.一般的には,固体及び液体については水が基準.

植物油の比重が0.91~0.92ですから,密度は,0.91-0.92(g/cm3)となります.これは水より軽いことを示しています.ですから,水と油を混ぜると,油が水の上になります.

大事な点は,液体は温度変化により体積が変化することです.ですから,正確さを要求される場合,体積ではなく質量を用います.ただし,液体のくすりでは,体積の単位であるmLが多く用いられています.