くすりの錠剤,たとえば解熱鎮痛薬の”ロキソニン錠60mg”の場合,販売名に有効成分が含まれている量(含量)が記載されていますから,1錠中に有効成分がどれだけ含まれているかは簡単にわかります.
実際の添付文書で確認してみましょう.
引用元:ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%,添付文書より,第一三共株式会社,2022年 10月改訂 ( 第2版 )
ロキソニン錠60mgでは,1錠中に有効成分のロキソプロフェンナトリウムは60mg含有されているとわかります.
では,液体のシロップ剤での表記はどうでしょうか?
ここでは鎮咳薬の”アスベリンシロップ0.5%”を見てみましょう.
引用元:アスベリンドライシロップ,添付文書より,ニプロESファーマ株式会社,2023年 1月改訂 ( 第1版 )
シロップ剤の場合,”%”と表記になっていますね.アスベリンシロップ0.5%は,有効成分のチペピジンヒベンズ酸塩が,製品の1mL中に5.54mg(5mg)含まれています.
疑問に思った方もいると思いますが,チペピジンヒベンズ酸塩では,本当の(?)の有効な物質はチペピジンで,ヒベンズ酸は効果には関係ありません.医薬品原料として扱いやすくするためチペピジンに塩としてヒベンズ酸を加えたものです.ですから,
チペピジン・ヒベンズ酸塩
と理解してください.
5.54mgは,チペピジンヒベンズ酸塩の重さであり,括弧内の”5mg”がチペピジンの重さになります.なので100mL中に5mg含まれているから5%です.5.54%ではありません.
ロキソニン60mgをもう一度見てください.有効成分はロキソプロフェンナトリウム水和物68.1mgになっていますね.水和物(ややこしいですが結合水といい水分子のことで,効果にはほぼ無関係です)を除いたロキソプロフェンナトリウム量が60mgということです.
薬剤の添付文書の有効成分の量は,このように表記されています.
本題に戻り,くすりの分野で使われる%(百分率)には3種類あります.質量百分率と体積百分率,質量対体積百分率の3種です.
・質量百分率
粉末などで100g中に含まれている物質(個体)が何g含まれているかをあらわします.ですから,一定質量の中に含まれているある物質の質量ですから,重量/重量(”/”は,perのことで”パー”と読みます)となり,英単語を使うと
weight/weight
となるので,頭文字をとって”w/w%”と表記します.
・体積百分率
溶液100mLに物質(液体)が何mL含まれているかをあらわします.
体積は,英単語で”volume”で
volume/ volume
すから,質量百分率の場合と同様に”v/v%”となります.
・質量対体積百分率
溶液100mLに物質(液体)が何g含まれているかをあらわします.
weight/ volume
ですから,”w/v%”となります.
※”質量”と”重量”に違いは大丈夫ですか?